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本日は、連載企画の第2段“HISTORY OF WAKOUWA EPISODEⅡ”より「~命名~編」を掲載します。
ANATOMICAで売られているスニーカーがなぜ“WAKOUWA”(ワクワ)という名前なのか?
その答えは、ANATOMICA PARIS代表ピエール・フル二エの幼少期にまで遡ります。
1949年のクリスマスの数日前、5歳の誕生日を目前にしていたピエール少年は、パリで最も高級なデパート「BON MARCHE(ボン・マルシェ)」のディスプレイウィンドウに見入ってしまいます。
当時のボン・マルシェの広告
突然ピエール少年の目を釘付けにしたのは、綺麗に陳列された、小さな木製の玩具でした。
「犬」・「猫・「シマウマ」・「キリン」
当時のこの革新的な玩具は、このデパートがプレスをして販売促進をしていました。
ピエール少年はすぐさま「今年のクリスマスプレゼントにこの玩具を」と、サンタクロースにお願いしました。
ピエール・フル二エ5歳 1949年のクリスマス
しかしクリスマス当日の朝、ピエールが懇願した「犬」の玩具は、家の煙突近くには現れませんでした。
15歳に成長したピエールは、彼の持つ特別な嗅覚と充分なお小遣いを軍資金に、ありとあらゆる玩具店・中古玩具店・フリーマーケットを対象に、幼い頃手に入らなかった「犬」の玩具を探して回ります。
しかし10年を費やした「想い」も、時代の流れの前には大敗でした。
サンタクロースに毎晩お願いをしたあの頃の時代背景とは異なり、当時完売したその玩具は後の市場ではすでに一般的ではなく、時代と共に忘れ去られていたのです。
さらに成長した若いピエールは、近代的な衣服とファッションの歴史に興味を持ち、ある事実を知ります。
それは、アメリカ人ヨット乗りポール・スペリー氏が、船員のために濡れたボートの甲板で滑りにくくなるよう、ゴムに特別な切り込みを入れたソールを開発したということでした。
スペリー氏が、愛犬であるプリンスを散歩に連れているときのこと。
本来であれば非常に滑るはずの凍った雪道を、プリンスがほとんどすべることなく自由に走り回っていることに気が付きます。
スペリーが、プリンスの足の裏をじっくり見たところ小さな溝が多数あることを発見しました。
これにインスピレーションを受けた彼はすぐに研究室へと戻り、スニーカーのソールにナイフで切り込みを入れて履いたところ、いままでよりもはるかに滑らないことが分かり、実質的な世界初のデッキスニーカーの誕生へと繋がったのです。
さらに成長したピエールは、当時スイス人のデザイナーの手に「WAKOUWA」ブランドの商標登録に成功します。
思い返せば1949年のクリスマス、煙突の傍ですすり泣いたピエールが、犬の玩具のストーリーとスペリーソールの発見という2つのストーリーが見事に溶け合い、“WAKOUWA”が誕生したのです。
そして、WAKOUWA最初のプロダクトであるアメリカ製ミリタリーキャンバス素材を使用し、滑り止めのゴムソールが取り付けられた、古典的なヴァルカナイズド製法によるスニーカーが誕生するのは、2009年・秋の話でした。
次週は【EPISODEⅢ~開発~】と題しまして、“WAKOUWA”の履き心地の秘密に迫ります。
是非ご期待ください!
ANATOMICA TOKYO 高桑